禁じられし扉 第19話
「何ここ〜!!?」
部屋に足を踏み入れた瞬間、セーナが大声で叫んだ。
セーナが叫ぶのは無理もなかった。
古い石の扉の向こうには、考えられない規模の最新機材がずらりと並んでいた。さらに部屋自体もとても洗練されており、キッチンや寝室、豪華なバスルームなど生活に必要なものは全て揃っていた。
「そんなに驚かなくても・・・」
ただポカーンするしかないセーナを見てユーリはクスクス笑いながら言った。そしてセーナの手を取って部屋の案内を始めた。
「この部屋の説明をしておくわ!!この部屋はプラリスの塔の最深部にあるの。このスーパーコンピュータールームを中心にキッチン、バスルーム、トイレ、寝室、そして地下プールを円状に設置してあるの。」
ユーリはセーナの手を取ったまま寝室に入った。
「うわ〜!!!」
寝室に入るとセーナは天井を見上げて驚いた。寝室の天井はホールのように高く、シアター設備も完備されていた。そしてバスルームと小さなキッチンも備え付けられていた。
「ユーリ、ここの寝室って私たちの私室より天井が高いんじゃない!?」
そう言いながらセーナは寝室を見て回っていた。
「そうね・・・私たちの私室の2倍はあるわ・・・」
ユーリは落ち着いた様子ではしゃぐセーナを見ていた。
「何事も見た目に惑わされてはダメよ、セーナ。」
「えっ?」
不思議そうな顔をするセーナを尻目にユーリはベッドの横にあるサイドテーブルの前に立ち、読書用ライトに自分の右目を近づけた。すると、テーブルの天板が手前にスライドし、下から指紋認証・暗証番号入力装置が現れた。
「えっ・・・その読書用ライトって網膜認証装置?しかも、そのテーブルにあるのって指紋認証装置と暗証番号入力装置じゃない!!?」
下から現れた指紋認証・暗証番号入力装置をのぞきこんだセーナはそう言うとユーリに顔を近づけた。
「これって、かなり最新鋭機器じゃない!?大体、この塔に入る時から疑問だったのよ!!外壁や石の扉の横にある電子機器・・・かなり前につくられた塔や扉になぜ電気機器があるの!?おかしいでしょ!?どういうことか説明して!!」
あまりの激しい口調にユーリはすこし驚いたが、すぐにセーナを宥めた。
「わかったから落ち着いて!!ちゃんと説明するから・・・」
そう言うとユーリ指紋認証装置の上に右手を乗せ、認証されると暗証番号を入力した。
すると、何か鍵の外れる音がしたと同時にサイドテーブルの天板が再びスライドし、指紋認証・暗証番号入力装置が隠れた。そしてサイドテーブルが床の下へと下がり始めると、前の壁が上へと上がり始めた。
「この部屋に入ってからちゃんと説明するわ。」
サイドテーブルがあったその場所には入口が現れ、そしてその奥には広い部屋が続いていた。
「・・・わかった・・・。」
セーナはユーリに続いて新たに現れた部屋に入った。
「・・・えっ!!?」
セーナは目の前に広がる光景が信じられなかった。
その部屋にはたくさんの画面があり、そしてそれらの画面の下には文字が書いてあった。
「ヴァラベル、ディナスティー、アストラム・・・」
それは国の名前であり、その画面に映っているのは国の最重要機密機関、つまり国王の住処である城の内部の映像だった。
「どう?」
ユーリはセーナの顔を覗き込んだ。
「これって・・・まさか各国の城内のリアルタイム映像・・・?」
セーナは恐る恐るユーリに聞いた。
「ピンポーン♪さすがセーナ!!」
「ど、ど、どうしてこんなものが・・・」
セーナはまだ信じられないといった様子で震える手で画面を指さした。
「こんな映像、どうやって入手してるの!?」
「ほらっ!!以前セーナが開発したマイクロカメラをちょっとね・・・」
ユーリはポケットからコンパクトを取り出した。そのコンパクトをあけるとオブラートのようなとても薄い透明のフィルムが入っていた。
「すごいでしょ?」
ユーリはその一枚を特殊な金属のスティックで慎重に取り出しセーナに見せた。
「・・・このフィルムにマイクロカメラを仕掛けたのね・・・・」
セーナはそのフィルムにも見覚えがあった。そのフィルムもセーナが開発したもので、完全に固定してしまうと、半永久的に剥がれないというもので、さらに0.001mmという極めて薄い透明のフィルムであるため、決して気づかれることはないという代物なのだ。
ユーリはそのフィルムと人間の眼では決して見えない極小カメラを組み合わせ、各国にばら撒いていたのだ。
「ここに記載されている国の城内に関しては、一部をのぞいては全て監視下にあるの。」
ユーリがリモコンを押すと、各国の城内映像が映っている画面とは別の画面に様々な国の名前が映しだされた。
「シャトゥーム近隣国はほとんど全てじゃない!?」
「当然でしょ?国家の安全の為には必要不可欠なことでしょ?」
ユーリが当然だという顔をしてセーナを見た。
「いやいや・・・でもこれってプライバシーというものを完全に無視しているような・・・」
セーナが遠慮がちに言うとユーリは壁を強く叩いた。
バシッ!!!
その音にセーナはビクついた。
(・・・。)
しばらくの沈黙の後、ユーリはセーナを睨んだ。
「何を言っているの・・・?プライバシー?」
「い、いや・・・その・・・えっと・・・ユーリ?」
(やばい・・・キレてる・・・。)
セーナはユーリの怒りを防ぐ方法を必死に考えていた。しかし、それはすぐに無駄になった。
「そんなものは国家元首にはないし、この国と国民たちを守る為でしょーがっ!!近隣国家が戦争を始めたりしたらその影響をシャトゥームも受けるのよ!?そのときになって慌てたって遅いの!!国家元首には国家をそのような事から防ぐ義務があるのよ!!!未然に防ぐためには情報が必要不可欠でしょ?わかる!!?これは国家元首として当然の行為よ!!」
ユーリは堰を切ったように勢いよく話し出した。
「だいたい、セーナは義務や責任という事を甘く見すぎなのっ!!」
「いや・・・うん・・・国家元首としての義務や責任がどれほど重く、それを果たすことが困難であるかはわかってるよ・・・」
セーナは無駄だとはわかっていたが、一応小さな声で反論した。しかしユーリの前では小さな反論はただの攻撃の対象にしかならなかった。
「わかっていたら他国への興味をもっと持っているはずです!!」
ユーリはセーナのとても小さな反論を一言で切って捨てた。
「・・・うぅ・・・。」
セーナは何も言うことが出来なかった。
ユーリの言うとおり、セーナは他国についての興味などほとんど持っていなかった。セーナは幼いときから開発をすることが大好きだった。両親もそんなセーナの非常に高い発想力と行動力をとても理解し、伸び伸びと育てた。そのため他国の重役との会食やパーティー、他国への訪問などにはあまり参加しなかった。セーナ自身も愛想を振りまくより研究室にこもって研究・開発に没頭することのほうが好きだった。
「確かに発明や開発は国家の繁栄のためにもとても大切だし必要なことよ。でも、それは安心してくらせる平和な国家があってこそでしょ?」
反対にユーリは幼い頃より他国への興味を持ち、訪問や短期留学なども積極的に行い、現在では各国元首はもちろん、首相や議員など各国への情報網を持つまでになった。
「・・・うん。」
セーナは何も言えなかった。
「それに、私たちの生活だってプライバシーなんてもの、ほとんどないじゃない・・・。」
確かにその通りだった。王室の生活というものは常に誰かの視線がある。ユーリとセーナは国王と王妃によって私室には必要最低限のセキュリティーシステムしかなく、他の王室に比べればプライバシーが守られている。しかし、私室にいられる時間など王女たちにはほとんどないに等しかった。
そのため、セーナが周囲を全く気にしなくてもいい鏡の間を作ったのだ。
「その通りです・・・はい・・・」
セーナが納得したと見るとユーリは少しだけ機嫌が良くなった。
「まぁ、わかればいいのよ。わかればっ!!」
「でも、よくこれだけのカメラを設置できたね・・・」
セーナはカメラの映像と画面に映しだされた国名を数えた。
「まさか・・・アレ、使ったの?」
セーナは少しユーリの顔色を見ながら聞いた。
「・・・アレって?」
「・・・サタン?」
少しの間をおいてユーリが笑いだした。
「あはははは。」
「ユーリ?」
ユーリは笑いを抑えながらセーナの方を向いたが、笑いすぎて涙目になっていた。
(そこまで笑わなくても・・・)
「カメラセットするためだけにサタンは使えないでしょ?」
「そうかもしれないけど・・・こんなことユーリだけでできないでしょ?」
セーナは少しパニックになっていた。
例え手駒の豊富なユーリであっても、各国のセキュリティーが最も厳しい王室に大量のカメラを設置できるはずがない。
「サタンは国王陛下直属の部隊でしょ?例え私でも簡単には動かせないわ。」
確かにサタンは国王直属部隊であり、護衛から暗殺まで指示があれば実行することができるシャトゥーム国一の特別武装部隊である。
「・・・じゃあ、スネイク?」
セーナが考えこんでユーリに言うとユーリは首を横に降った。
「えぇぇぇぇ〜!!それじゃ、こんなこと誰がしたのよ〜!!!」
スネイクも国王直属部隊だが、サタンとは違い情報収集が主な部隊である。しかし、国王直属部隊であるため、かなり武術にも優れている。そのためスパイとしての行動が非常に多い。
「スネイクも国王直属部隊よ。私の一存で動かせる部隊ではないわ。」
セーナが頭を抱えこんでいると突然、アラームのような電子音が鳴り響いた。
部屋に足を踏み入れた瞬間、セーナが大声で叫んだ。
セーナが叫ぶのは無理もなかった。
古い石の扉の向こうには、考えられない規模の最新機材がずらりと並んでいた。さらに部屋自体もとても洗練されており、キッチンや寝室、豪華なバスルームなど生活に必要なものは全て揃っていた。
「そんなに驚かなくても・・・」
ただポカーンするしかないセーナを見てユーリはクスクス笑いながら言った。そしてセーナの手を取って部屋の案内を始めた。
「この部屋の説明をしておくわ!!この部屋はプラリスの塔の最深部にあるの。このスーパーコンピュータールームを中心にキッチン、バスルーム、トイレ、寝室、そして地下プールを円状に設置してあるの。」
ユーリはセーナの手を取ったまま寝室に入った。
「うわ〜!!!」
寝室に入るとセーナは天井を見上げて驚いた。寝室の天井はホールのように高く、シアター設備も完備されていた。そしてバスルームと小さなキッチンも備え付けられていた。
「ユーリ、ここの寝室って私たちの私室より天井が高いんじゃない!?」
そう言いながらセーナは寝室を見て回っていた。
「そうね・・・私たちの私室の2倍はあるわ・・・」
ユーリは落ち着いた様子ではしゃぐセーナを見ていた。
「何事も見た目に惑わされてはダメよ、セーナ。」
「えっ?」
不思議そうな顔をするセーナを尻目にユーリはベッドの横にあるサイドテーブルの前に立ち、読書用ライトに自分の右目を近づけた。すると、テーブルの天板が手前にスライドし、下から指紋認証・暗証番号入力装置が現れた。
「えっ・・・その読書用ライトって網膜認証装置?しかも、そのテーブルにあるのって指紋認証装置と暗証番号入力装置じゃない!!?」
下から現れた指紋認証・暗証番号入力装置をのぞきこんだセーナはそう言うとユーリに顔を近づけた。
「これって、かなり最新鋭機器じゃない!?大体、この塔に入る時から疑問だったのよ!!外壁や石の扉の横にある電子機器・・・かなり前につくられた塔や扉になぜ電気機器があるの!?おかしいでしょ!?どういうことか説明して!!」
あまりの激しい口調にユーリはすこし驚いたが、すぐにセーナを宥めた。
「わかったから落ち着いて!!ちゃんと説明するから・・・」
そう言うとユーリ指紋認証装置の上に右手を乗せ、認証されると暗証番号を入力した。
すると、何か鍵の外れる音がしたと同時にサイドテーブルの天板が再びスライドし、指紋認証・暗証番号入力装置が隠れた。そしてサイドテーブルが床の下へと下がり始めると、前の壁が上へと上がり始めた。
「この部屋に入ってからちゃんと説明するわ。」
サイドテーブルがあったその場所には入口が現れ、そしてその奥には広い部屋が続いていた。
「・・・わかった・・・。」
セーナはユーリに続いて新たに現れた部屋に入った。
「・・・えっ!!?」
セーナは目の前に広がる光景が信じられなかった。
その部屋にはたくさんの画面があり、そしてそれらの画面の下には文字が書いてあった。
「ヴァラベル、ディナスティー、アストラム・・・」
それは国の名前であり、その画面に映っているのは国の最重要機密機関、つまり国王の住処である城の内部の映像だった。
「どう?」
ユーリはセーナの顔を覗き込んだ。
「これって・・・まさか各国の城内のリアルタイム映像・・・?」
セーナは恐る恐るユーリに聞いた。
「ピンポーン♪さすがセーナ!!」
「ど、ど、どうしてこんなものが・・・」
セーナはまだ信じられないといった様子で震える手で画面を指さした。
「こんな映像、どうやって入手してるの!?」
「ほらっ!!以前セーナが開発したマイクロカメラをちょっとね・・・」
ユーリはポケットからコンパクトを取り出した。そのコンパクトをあけるとオブラートのようなとても薄い透明のフィルムが入っていた。
「すごいでしょ?」
ユーリはその一枚を特殊な金属のスティックで慎重に取り出しセーナに見せた。
「・・・このフィルムにマイクロカメラを仕掛けたのね・・・・」
セーナはそのフィルムにも見覚えがあった。そのフィルムもセーナが開発したもので、完全に固定してしまうと、半永久的に剥がれないというもので、さらに0.001mmという極めて薄い透明のフィルムであるため、決して気づかれることはないという代物なのだ。
ユーリはそのフィルムと人間の眼では決して見えない極小カメラを組み合わせ、各国にばら撒いていたのだ。
「ここに記載されている国の城内に関しては、一部をのぞいては全て監視下にあるの。」
ユーリがリモコンを押すと、各国の城内映像が映っている画面とは別の画面に様々な国の名前が映しだされた。
「シャトゥーム近隣国はほとんど全てじゃない!?」
「当然でしょ?国家の安全の為には必要不可欠なことでしょ?」
ユーリが当然だという顔をしてセーナを見た。
「いやいや・・・でもこれってプライバシーというものを完全に無視しているような・・・」
セーナが遠慮がちに言うとユーリは壁を強く叩いた。
バシッ!!!
その音にセーナはビクついた。
(・・・。)
しばらくの沈黙の後、ユーリはセーナを睨んだ。
「何を言っているの・・・?プライバシー?」
「い、いや・・・その・・・えっと・・・ユーリ?」
(やばい・・・キレてる・・・。)
セーナはユーリの怒りを防ぐ方法を必死に考えていた。しかし、それはすぐに無駄になった。
「そんなものは国家元首にはないし、この国と国民たちを守る為でしょーがっ!!近隣国家が戦争を始めたりしたらその影響をシャトゥームも受けるのよ!?そのときになって慌てたって遅いの!!国家元首には国家をそのような事から防ぐ義務があるのよ!!!未然に防ぐためには情報が必要不可欠でしょ?わかる!!?これは国家元首として当然の行為よ!!」
ユーリは堰を切ったように勢いよく話し出した。
「だいたい、セーナは義務や責任という事を甘く見すぎなのっ!!」
「いや・・・うん・・・国家元首としての義務や責任がどれほど重く、それを果たすことが困難であるかはわかってるよ・・・」
セーナは無駄だとはわかっていたが、一応小さな声で反論した。しかしユーリの前では小さな反論はただの攻撃の対象にしかならなかった。
「わかっていたら他国への興味をもっと持っているはずです!!」
ユーリはセーナのとても小さな反論を一言で切って捨てた。
「・・・うぅ・・・。」
セーナは何も言うことが出来なかった。
ユーリの言うとおり、セーナは他国についての興味などほとんど持っていなかった。セーナは幼いときから開発をすることが大好きだった。両親もそんなセーナの非常に高い発想力と行動力をとても理解し、伸び伸びと育てた。そのため他国の重役との会食やパーティー、他国への訪問などにはあまり参加しなかった。セーナ自身も愛想を振りまくより研究室にこもって研究・開発に没頭することのほうが好きだった。
「確かに発明や開発は国家の繁栄のためにもとても大切だし必要なことよ。でも、それは安心してくらせる平和な国家があってこそでしょ?」
反対にユーリは幼い頃より他国への興味を持ち、訪問や短期留学なども積極的に行い、現在では各国元首はもちろん、首相や議員など各国への情報網を持つまでになった。
「・・・うん。」
セーナは何も言えなかった。
「それに、私たちの生活だってプライバシーなんてもの、ほとんどないじゃない・・・。」
確かにその通りだった。王室の生活というものは常に誰かの視線がある。ユーリとセーナは国王と王妃によって私室には必要最低限のセキュリティーシステムしかなく、他の王室に比べればプライバシーが守られている。しかし、私室にいられる時間など王女たちにはほとんどないに等しかった。
そのため、セーナが周囲を全く気にしなくてもいい鏡の間を作ったのだ。
「その通りです・・・はい・・・」
セーナが納得したと見るとユーリは少しだけ機嫌が良くなった。
「まぁ、わかればいいのよ。わかればっ!!」
「でも、よくこれだけのカメラを設置できたね・・・」
セーナはカメラの映像と画面に映しだされた国名を数えた。
「まさか・・・アレ、使ったの?」
セーナは少しユーリの顔色を見ながら聞いた。
「・・・アレって?」
「・・・サタン?」
少しの間をおいてユーリが笑いだした。
「あはははは。」
「ユーリ?」
ユーリは笑いを抑えながらセーナの方を向いたが、笑いすぎて涙目になっていた。
(そこまで笑わなくても・・・)
「カメラセットするためだけにサタンは使えないでしょ?」
「そうかもしれないけど・・・こんなことユーリだけでできないでしょ?」
セーナは少しパニックになっていた。
例え手駒の豊富なユーリであっても、各国のセキュリティーが最も厳しい王室に大量のカメラを設置できるはずがない。
「サタンは国王陛下直属の部隊でしょ?例え私でも簡単には動かせないわ。」
確かにサタンは国王直属部隊であり、護衛から暗殺まで指示があれば実行することができるシャトゥーム国一の特別武装部隊である。
「・・・じゃあ、スネイク?」
セーナが考えこんでユーリに言うとユーリは首を横に降った。
「えぇぇぇぇ〜!!それじゃ、こんなこと誰がしたのよ〜!!!」
スネイクも国王直属部隊だが、サタンとは違い情報収集が主な部隊である。しかし、国王直属部隊であるため、かなり武術にも優れている。そのためスパイとしての行動が非常に多い。
「スネイクも国王直属部隊よ。私の一存で動かせる部隊ではないわ。」
セーナが頭を抱えこんでいると突然、アラームのような電子音が鳴り響いた。
- Posted at:
- 2008年
- 03月
- 20日
- (木)
- 02:23
- TOP △
禁じられし扉 第18話
「シャトゥーム国王陛下。この写真が何かおわかりになりますよね?」
ノスチーヌ候は写真を国王に渡して言った。
「これは!?」
国王はその写真を見て驚愕した。
「ある者から手に入れたものでしてね。こんな事が王妃様、王女様方に知られてしまったら・・・。それに、あなたはとても誠実な方としてこの国中の人々から愛されている。そんな人物が・・・。」
ノスチーヌ候は写真を見て青ざめている国王にさらに追い討ちをかけるように言った。
「このような事をしているとわかれば、あなたは国民からの信頼を失うだけでは済まないのではないのですか?」
「・・・私にどうしろと?」
国王は俯いたままで言った。その肩は小刻みに震えていた。
「簡単なことです。ただユーリ様をヴァラベル王妃にと。悪いお話ではないと思いますよ・・・一国家の王妃なのですから。王女にとって王妃になるという事はとても幸せなことではありませんか!!」
ノスチーヌ候は不敵な笑みをこぼしながら国王に言った。
「・・・・・。」
そんな様子を黙って見ていた国王は静かに口を開いた。
「・・・本当の目的は何だ?」
「・・・どういう意味でしょうか?」
ノスチーヌ候から笑顔が消え、鋭い視線が国王に向けられた。
「何か目的があるのだろう?そのような写真を使ってまでユーリをヴァラベル王妃にしようとするぐらいなのだから・・・ヴァラベル国は財政難になりつつあるようだしな・・・。」
国王もまた殺気を感じるぐらいの覇気をノスチーヌ候に発し言った。するとノスチーヌ候はしばらく国王を見ていたが立ち上がり言った。
「・・・私の首をお刎ねになりますか?しかしそんな事をしても・・・」
「そんな事はしない。お前の首を刎ねたところでこの問題が解決するわけではないからな・・・。」
国王はノスチーヌ候の言葉を遮り、立ち上がったと同時に目にも留まらない速さで剣を抜きノスチーヌ候の首元に突きつけた。
「目的を聞こう。そして出来る事なら王妃や王女、国民を巻き込まずに問題を解決したい。」
「・・・。」
ノスチーヌ候は国王のすさまじい覇気を感じ全身が震えそうになった。そして首に食い込みかけている剣にすこし戸惑っていた。
シャトゥーム国王ザビエルはとても慈悲深く穏やかであり、武術は全く会得していない人物だと聞いていたからだ。
「さすが一国の国主であらせられる。武術の腕前がこれほどまでとは・・・」
「武力は嫌いだ。一番尊い命を簡単に奪うからな・・・。しかし、私は国の父だ。守る時は守らねばならない。私は守るためだけに武術を使う。」
国王はさらに剣をノスチーヌ候の首に食い込ませた。
「あなたはとてもよい国王であらせられる。我が国王も少しは見習っていただきたいものです。」
ノスチーヌ候は全身の力を抜いて言った。
「あなた様のおっしゃる通りでございます。わが国は財政難に陥りかけています。現在は官たちの必死の働きによってなんとか体裁を保っておりますが・・・それもどこまで持つかどうかわかりません。」
国王はノスチーヌ候の首に食い込ませていた剣を首から離し、鞘に納めてイスに座った。
「経済援助・・・それが目的か・・・。しかし、王室が財政難に陥っている理由はレイン王太子に入れ込みすぎているからなのではないのか?その王太子と母親である王妃の位を剥奪すれば二人は王室から出て行くわけだし、むしろ王室の財政難は回復するのではないのか?それとも何か他に理由があるのか?」
「・・・鋭くていらっしゃる。王太子と王妃の位剥奪の本当の理由は申しあげられませんが、浪費家であった二人を王室から追放する理由には十分でありましたし・・・ロッソ国王は王妃にも王太子にも興味を御持ちではありません。ですから位剥奪に関しましてもすぐに了承されました。しかし・・・二人が今までにこしらえた借金は途方もなく多く、王室を立て直そうにも・・・。」
ノスチーヌ候は肩を落とし、額に手を当てて頭を横に振った。
「王室を立て直すための金が必要なのか・・・。」
国王がノスチーヌ候に聞くと、ノスチーヌ候は頷いた。
「左様でございます。国民より税金を今以上多くとるわけにはいきません。国民の生活も少しずつではありますが王室の財政難の影響を受けつつありますので・・・。ですからもうシャトゥーム国しか・・・。」
「何故初めからその理由を言わなかった?」
国王は顔をしかめてノスチーヌ候を見た。
「ユーリ様をヴァラベル国王妃にというお話も本気でございます。ヴァラベル国には王妃がいませんので・・・そして跡継ぎも。」
「・・・それはヴァラベル国王も望んでおられるのか?」
「もちろんでございます。シャトゥーム国第一王女であり、エレーナ・アリアット王后陛下を母に持つユーリ様を是非にと・・・。」
ノスチーヌ候はそう言うとイスに座った。
「・・・セーナもいるのにか?」
「セーナ様はテクノロジー関係にとても精通されておられます故、王妃になられては少しヴァラベル国とてして不都合な事になるのです。その点ユーリ様はあまりテクノロジー関係には関心をお持ちではないので・・・。」
ノスティーヌ候の説明を聞いていた国王は頭を抱えながら不思議そうな顔をして聞いた。
「・・・では、何故セーナをヴァラベル国に留学を?」
「そ、それは・・・」
国王の問いにノスチーヌ候は言葉に詰まった。
「何故なのだと聞いているのだ!!」
「ユーリ様はしばらく体調を崩しておられたという情報がありまして・・・セーナ様が留学でユーリ様のお傍を離れれば・・・その・・・」
国王が声を荒げるとノスチーヌ候は詰まりながら答えた。
「・・・セーナが国を離れ、そしてユーリの体調が崩れている時を狙ったというわけか・・・それはヴァラベル国王の指示なのか?」
「はい・・・といいますか・・・我々が会議で決め、それを国王に報告したという形になるのですが・・・。」
国王は全てを聞かなくともノスチーヌ候が何を言おうとしているのかわかった。
「そうか・・・。」
ヴァラベル国王とは直接面識があったわけではないが、ザビエル王がまだ王子で王妃と出会ったばかりの頃、エレーナ王女に当時王太子だったヴァラベル国王が熱心に求婚していたのだ。もちろんエレーナ王女は断り続け、そしてエレーナ王女の父親であるディナスティー国王もヴァラベル国からの再三の要求に一切答えなかった。その事は王子だったザビエル王も知っていた。その後、エレーナ王女はザビエル王子と結婚し、ロッソ王太子はヴァラベル国一の名門であるラ・ジューム公爵家のティナー・マグレット嬢を妃に迎えた。
「ノスチーヌ候・・・私とてすぐに結論を出すことなどできない。しばらく考えさせていただきたい。」
国王は視線を落としたままノスチーヌ候に言った。するとノスチーヌ候はイスから立ち上がり、そして膝をついて頭を下げて言った。
「もちろんでございます。お返事を伺いに再び参らせていただきます。ごゆっくりお考えになってください。」
「あぁ・・・。」
ノスチーヌ候は深く頭を下げ、静かに部屋を出た。
ノスチーヌ候は写真を国王に渡して言った。
「これは!?」
国王はその写真を見て驚愕した。
「ある者から手に入れたものでしてね。こんな事が王妃様、王女様方に知られてしまったら・・・。それに、あなたはとても誠実な方としてこの国中の人々から愛されている。そんな人物が・・・。」
ノスチーヌ候は写真を見て青ざめている国王にさらに追い討ちをかけるように言った。
「このような事をしているとわかれば、あなたは国民からの信頼を失うだけでは済まないのではないのですか?」
「・・・私にどうしろと?」
国王は俯いたままで言った。その肩は小刻みに震えていた。
「簡単なことです。ただユーリ様をヴァラベル王妃にと。悪いお話ではないと思いますよ・・・一国家の王妃なのですから。王女にとって王妃になるという事はとても幸せなことではありませんか!!」
ノスチーヌ候は不敵な笑みをこぼしながら国王に言った。
「・・・・・。」
そんな様子を黙って見ていた国王は静かに口を開いた。
「・・・本当の目的は何だ?」
「・・・どういう意味でしょうか?」
ノスチーヌ候から笑顔が消え、鋭い視線が国王に向けられた。
「何か目的があるのだろう?そのような写真を使ってまでユーリをヴァラベル王妃にしようとするぐらいなのだから・・・ヴァラベル国は財政難になりつつあるようだしな・・・。」
国王もまた殺気を感じるぐらいの覇気をノスチーヌ候に発し言った。するとノスチーヌ候はしばらく国王を見ていたが立ち上がり言った。
「・・・私の首をお刎ねになりますか?しかしそんな事をしても・・・」
「そんな事はしない。お前の首を刎ねたところでこの問題が解決するわけではないからな・・・。」
国王はノスチーヌ候の言葉を遮り、立ち上がったと同時に目にも留まらない速さで剣を抜きノスチーヌ候の首元に突きつけた。
「目的を聞こう。そして出来る事なら王妃や王女、国民を巻き込まずに問題を解決したい。」
「・・・。」
ノスチーヌ候は国王のすさまじい覇気を感じ全身が震えそうになった。そして首に食い込みかけている剣にすこし戸惑っていた。
シャトゥーム国王ザビエルはとても慈悲深く穏やかであり、武術は全く会得していない人物だと聞いていたからだ。
「さすが一国の国主であらせられる。武術の腕前がこれほどまでとは・・・」
「武力は嫌いだ。一番尊い命を簡単に奪うからな・・・。しかし、私は国の父だ。守る時は守らねばならない。私は守るためだけに武術を使う。」
国王はさらに剣をノスチーヌ候の首に食い込ませた。
「あなたはとてもよい国王であらせられる。我が国王も少しは見習っていただきたいものです。」
ノスチーヌ候は全身の力を抜いて言った。
「あなた様のおっしゃる通りでございます。わが国は財政難に陥りかけています。現在は官たちの必死の働きによってなんとか体裁を保っておりますが・・・それもどこまで持つかどうかわかりません。」
国王はノスチーヌ候の首に食い込ませていた剣を首から離し、鞘に納めてイスに座った。
「経済援助・・・それが目的か・・・。しかし、王室が財政難に陥っている理由はレイン王太子に入れ込みすぎているからなのではないのか?その王太子と母親である王妃の位を剥奪すれば二人は王室から出て行くわけだし、むしろ王室の財政難は回復するのではないのか?それとも何か他に理由があるのか?」
「・・・鋭くていらっしゃる。王太子と王妃の位剥奪の本当の理由は申しあげられませんが、浪費家であった二人を王室から追放する理由には十分でありましたし・・・ロッソ国王は王妃にも王太子にも興味を御持ちではありません。ですから位剥奪に関しましてもすぐに了承されました。しかし・・・二人が今までにこしらえた借金は途方もなく多く、王室を立て直そうにも・・・。」
ノスチーヌ候は肩を落とし、額に手を当てて頭を横に振った。
「王室を立て直すための金が必要なのか・・・。」
国王がノスチーヌ候に聞くと、ノスチーヌ候は頷いた。
「左様でございます。国民より税金を今以上多くとるわけにはいきません。国民の生活も少しずつではありますが王室の財政難の影響を受けつつありますので・・・。ですからもうシャトゥーム国しか・・・。」
「何故初めからその理由を言わなかった?」
国王は顔をしかめてノスチーヌ候を見た。
「ユーリ様をヴァラベル国王妃にというお話も本気でございます。ヴァラベル国には王妃がいませんので・・・そして跡継ぎも。」
「・・・それはヴァラベル国王も望んでおられるのか?」
「もちろんでございます。シャトゥーム国第一王女であり、エレーナ・アリアット王后陛下を母に持つユーリ様を是非にと・・・。」
ノスチーヌ候はそう言うとイスに座った。
「・・・セーナもいるのにか?」
「セーナ様はテクノロジー関係にとても精通されておられます故、王妃になられては少しヴァラベル国とてして不都合な事になるのです。その点ユーリ様はあまりテクノロジー関係には関心をお持ちではないので・・・。」
ノスティーヌ候の説明を聞いていた国王は頭を抱えながら不思議そうな顔をして聞いた。
「・・・では、何故セーナをヴァラベル国に留学を?」
「そ、それは・・・」
国王の問いにノスチーヌ候は言葉に詰まった。
「何故なのだと聞いているのだ!!」
「ユーリ様はしばらく体調を崩しておられたという情報がありまして・・・セーナ様が留学でユーリ様のお傍を離れれば・・・その・・・」
国王が声を荒げるとノスチーヌ候は詰まりながら答えた。
「・・・セーナが国を離れ、そしてユーリの体調が崩れている時を狙ったというわけか・・・それはヴァラベル国王の指示なのか?」
「はい・・・といいますか・・・我々が会議で決め、それを国王に報告したという形になるのですが・・・。」
国王は全てを聞かなくともノスチーヌ候が何を言おうとしているのかわかった。
「そうか・・・。」
ヴァラベル国王とは直接面識があったわけではないが、ザビエル王がまだ王子で王妃と出会ったばかりの頃、エレーナ王女に当時王太子だったヴァラベル国王が熱心に求婚していたのだ。もちろんエレーナ王女は断り続け、そしてエレーナ王女の父親であるディナスティー国王もヴァラベル国からの再三の要求に一切答えなかった。その事は王子だったザビエル王も知っていた。その後、エレーナ王女はザビエル王子と結婚し、ロッソ王太子はヴァラベル国一の名門であるラ・ジューム公爵家のティナー・マグレット嬢を妃に迎えた。
「ノスチーヌ候・・・私とてすぐに結論を出すことなどできない。しばらく考えさせていただきたい。」
国王は視線を落としたままノスチーヌ候に言った。するとノスチーヌ候はイスから立ち上がり、そして膝をついて頭を下げて言った。
「もちろんでございます。お返事を伺いに再び参らせていただきます。ごゆっくりお考えになってください。」
「あぁ・・・。」
ノスチーヌ候は深く頭を下げ、静かに部屋を出た。
- Posted at:
- 2008年
- 01月
- 11日
- (金)
- 23:54
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禁じられし扉 第17話
「国王陛下・・・どうなさいましたの?」
王妃は落ち着かない様子でウロウロしている国王を見ながら心配そうな顔をした。
「エレーナ・・・」
国王は王妃の顔を見て何かを言おうとしたが、しばらくすると黙って大きな溜め息をついて椅子に座った。
「あなた・・・一体何があったのです?ノスチーヌ候とお会いになってから落ちつかないご様子ですけれど・・・」
王妃は頭を抱え込んでいる国王の左手に自分の右手を重ねて言った。すると国王は王妃の顔を見て言った。
「・・・エレーナ・・・私はシャトゥーム国王だ・・・だが、ユーリの父親でもある。」
「・・・ええ、そうですわね・・・あなたは良き国王であり良き夫であり、そしてとても良い父親ですわ。」
王妃は国王の手を握り締めながら笑顔で国王に言った。
「だが・・・どれか一つを選ばなければならなくなった時、私は一体どれを選ぶべきなのだろう・・・。」
国王はそう言うと寂しそうに王妃の顔を見た。すると、王妃は少し驚いた顔をしたがすぐに笑顔で静かに言った。
「・・・国王陛下。あなたはこのシャトゥーム国の父なのです。シャトゥーム全国民の偉大なる父なのです。ですから、あなたは国王としてこの国を守らなければなりません。私や王女たちにとっても偉大な国王陛下なのですから・・・この国の幸せが私たちの幸せでもあるのです。何も迷うことなどありませんわ。」
すると国王は王妃の手を強く握り返した。
「・・・あなた?」
「・・・私は・・・無力だ。何一つ守ることができないのだ・・・。」
国王はそう言うと手で顔を覆った。
そんな様子を見ていた王妃は立ち上がり、部屋にいた護衛官や女官たちを全員部屋の外へ出した。
「・・・あなた。一体、ノスチーヌ候と何があったのですか?」
「・・・。」
国王は何も言わずただ俯いていた。王妃は軽く溜め息をついてから静かに言った。
「・・・私にはお話になれない事なのですか?」
その言葉に国王はハッと顔をあげて王妃の顔を見た。すると王妃は寂しそうに微笑んで国王に言った。
「もし、あなたの御心の整理がついていないのなら私はいつまでもお待ちいたします。御心が落ち着くまでずっと・・・ですから、一人で悩まないでください。
私はそのためにあなたのお傍にいるのでしょう?」
「・・・エレーナ。」
国王は王妃を抱き寄せ、そして力強く抱きしめた。
「もう少しだけ、待ってくれ。」
「はい。いつまででもお待ちします。」
王妃は顔をあげて優しい笑顔で言った。そして、部屋を出て自分の私室へと戻った。
一人になった国王はノスチーヌ候から渡された一枚の写真を見ながらやり取りを思いだしていた。
王妃は落ち着かない様子でウロウロしている国王を見ながら心配そうな顔をした。
「エレーナ・・・」
国王は王妃の顔を見て何かを言おうとしたが、しばらくすると黙って大きな溜め息をついて椅子に座った。
「あなた・・・一体何があったのです?ノスチーヌ候とお会いになってから落ちつかないご様子ですけれど・・・」
王妃は頭を抱え込んでいる国王の左手に自分の右手を重ねて言った。すると国王は王妃の顔を見て言った。
「・・・エレーナ・・・私はシャトゥーム国王だ・・・だが、ユーリの父親でもある。」
「・・・ええ、そうですわね・・・あなたは良き国王であり良き夫であり、そしてとても良い父親ですわ。」
王妃は国王の手を握り締めながら笑顔で国王に言った。
「だが・・・どれか一つを選ばなければならなくなった時、私は一体どれを選ぶべきなのだろう・・・。」
国王はそう言うと寂しそうに王妃の顔を見た。すると、王妃は少し驚いた顔をしたがすぐに笑顔で静かに言った。
「・・・国王陛下。あなたはこのシャトゥーム国の父なのです。シャトゥーム全国民の偉大なる父なのです。ですから、あなたは国王としてこの国を守らなければなりません。私や王女たちにとっても偉大な国王陛下なのですから・・・この国の幸せが私たちの幸せでもあるのです。何も迷うことなどありませんわ。」
すると国王は王妃の手を強く握り返した。
「・・・あなた?」
「・・・私は・・・無力だ。何一つ守ることができないのだ・・・。」
国王はそう言うと手で顔を覆った。
そんな様子を見ていた王妃は立ち上がり、部屋にいた護衛官や女官たちを全員部屋の外へ出した。
「・・・あなた。一体、ノスチーヌ候と何があったのですか?」
「・・・。」
国王は何も言わずただ俯いていた。王妃は軽く溜め息をついてから静かに言った。
「・・・私にはお話になれない事なのですか?」
その言葉に国王はハッと顔をあげて王妃の顔を見た。すると王妃は寂しそうに微笑んで国王に言った。
「もし、あなたの御心の整理がついていないのなら私はいつまでもお待ちいたします。御心が落ち着くまでずっと・・・ですから、一人で悩まないでください。
私はそのためにあなたのお傍にいるのでしょう?」
「・・・エレーナ。」
国王は王妃を抱き寄せ、そして力強く抱きしめた。
「もう少しだけ、待ってくれ。」
「はい。いつまででもお待ちします。」
王妃は顔をあげて優しい笑顔で言った。そして、部屋を出て自分の私室へと戻った。
一人になった国王はノスチーヌ候から渡された一枚の写真を見ながらやり取りを思いだしていた。
- Posted at:
- 2007年
- 12月
- 15日
- (土)
- 01:38
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禁じられし扉 第16話
「ちょ、ちょっとユーリ・・・一体、どこに・・・」
セーナは入口から続く階段を降りながら言った。階段の幅は狭く、人が一人やっと通れるぐらいしかなかった。そして、階段の至るところから道が出ていてまるで迷路のようになっていた。
「プラリスの塔の地下って・・・広いの?」
セーナはユーリを見失わないように必死で追いかけていた。
「どうして?」
「だって・・・道がたくさんあるから。」
セーナが周りをキョロキョロ見ながら言うと、ユーリは前を向いたまま答えた。
「そうねぇ〜・・・確かに広いとは思うわよ。セーナってプラリスの塔には初めて入ったの?」
「え・・・うん。だってプラリスの塔ってただの塔だと思っていたし、それに神聖な場所だから・・・」
セーナがそう言うとユーリはクスリと笑った。
「普通はそうよね。この国でプラリスの塔の伝説を知らない人はいないもの。でも・・・真実を知る者はいないに等しいんじゃないかしら?」
「真実?えっ・・・じゃあ、伝説は・・・」
ユーリは真剣な顔で語り始めた。
「このプラリスの塔は確かに内乱が続いた時代に国王が城を守るために築いたもの。でも本当の目的は愛する者を守るために築かれたものなのよ。」
「愛する者?」
「うん。それがプラリス王妃だったのよ。内乱が続き、城内にも何度も民衆が攻めこんで来ていたみたいなの。城内はもはや安全ではなかったのよ・・・だから国王はプラリスの塔を築き、地下に部屋を作った。沢山の罠と共にね・・・。」
「・・・沢山の罠って・・・もしかして・・・」
セーナがそう言って階段から出ている道を指差すとユーリは頷いた。
「そうよ。地下の部屋に行く道は1本だけ。他の道は全部罠・・・その道に足を踏込めば最後・・・二度と外には出られないみたい。」
ユーリが冷静な口調で言うとセーナは不安そうにユーリに言った。
「ちょっ・・・ユーリぃ〜・・・」
「大丈夫よ!!道は知ってるから!!」
ユーリは笑顔で答え、伝説の真実を続けた。
「国王は地下の部屋に長期間生活できるだけの物を用意し、プラリス王妃を部屋に隠した。そして内乱が治まるまで王妃をずっと部屋に隠し続けたのよ。」
「そんな事が可能なの?だって・・・内乱が治まるまでってかなりの・・・」
セーナは驚いてユーリに聞いた。
「うん。半年以上は確実でしょうね・・・。」
「そんなに長く、ずっと一人で・・・」
ユーリが答えるとセーナは哀しそうに言った。
「ずっと一人っていうわけではなかったのよ・・・」
「えっ?どういうこと?だって・・・国王は王妃を地下の部屋に隠したって・・・」
「うん。でも・・・食料などを補給する必要があるでしょ?いくら長期間生活できるって言っても食料はそうもいかないから・・・」
ユーリが苦笑してセーナを見るとセーナは頷いた。
「だから、国王は王妃を隠したことがばれないように信頼できる王妃護衛官の一人であった、とある若者に食料など王妃が必要とするものを届けさせていたのよ・・・若ければ雑用係に見えるからね。」
「・・・。」
「だから王妃はずっと一人ではなかったのよ・・・そして内乱は治まった・・・」
ユーリがそこまで語り終えるとセーナは不思議そうにユーリに聞いた。
「あれっ?それじゃ、王妃は生きてたってことになるん・・・」
「重要なのはこれから!!」
ユーリがそう言うとセーナは口を閉じた。
「内乱が治まって、城内も安全になり国王がプラリスの塔へ王妃を向かえに行ったとき・・・国王は信じられないもの見てしまったの。」
「・・・。」
「・・・王妃は国王を裏切ったのよ。」
ユーリはそう言うと鋭い視線をセーナに向けた。
「裏切り・・・」
「そう・・・王妃は護衛官の若者と関係をもっていたの。半年以上にも渡って若い男女が二人だけの時間を共有すれば、愛し合うっていうのも当然の流れって言えばそうなのかもしれないけど・・・。
国王は王妃と護衛官との愛し合う現場を見てしまったのよ・・・」
「・・・。」
セーナはコクンと唾を飲み込んだ。
「王妃は国王の妻。王妃と関係を持つことは反逆罪。激怒した国王は護衛官をその場で殺し、王妃をそのまま地下の部屋に閉じ込めたのよ・・・。」
「そんな・・・それじゃ、飢え死にしろって言っているのと同じことじゃない!!」
「まぁね・・・でも、2・3日して頭を冷やして国王が王妃に会いに地下の部屋に行くと王妃は護衛官に寄り添って死んでいたの。どうやら、護衛官と愛し合った時から死を覚悟していたみたいで、毒を飲んだんですって。」
ユーリはそこまで語ると立ち止まって道を確認した。
「そんな・・・じゃあ、どうしてあんな伝説が・・・」
セーナが下を向きながら言うとユーリは再び歩きだして言った。
「王妃を隠していた・・・しかもその部屋で王妃が浮気をしていた・・・なんてこと言えないでしょう!?だから国王は王妃をプラリスの塔の上へ運び、そして家来たちを呼んだのよ・・・。まるで王妃がずっと塔の上で祈っていたかのように装ってね。だから伝説が生まれたのよ。」
ユーリが語り終えたとき、二人は石で作られた扉の前に来ていた。扉はそれほど大きくなく1.7mほどの高さしかなく、見た目は倉庫にしか見えなかった。
「ここよ。」
ユーリはそう言うと扉の右側にある燭台を手前に引いた。すると壁の一枚のブロックがスライドし中には地下の入口にあったものと同じ鍵穴と電子画面が出てきた。ユーリは黙ったまま鍵を差し、パスワードを入力し鍵を回した。
すると、錠が外れる音がして石の扉が開いた。
セーナが驚いて見ているとユーリは部屋に足を踏み入れながらセーナに言った。
「入らないの?」
セーナは慌ててユーリに続いて部屋の中に入った。
セーナは入口から続く階段を降りながら言った。階段の幅は狭く、人が一人やっと通れるぐらいしかなかった。そして、階段の至るところから道が出ていてまるで迷路のようになっていた。
「プラリスの塔の地下って・・・広いの?」
セーナはユーリを見失わないように必死で追いかけていた。
「どうして?」
「だって・・・道がたくさんあるから。」
セーナが周りをキョロキョロ見ながら言うと、ユーリは前を向いたまま答えた。
「そうねぇ〜・・・確かに広いとは思うわよ。セーナってプラリスの塔には初めて入ったの?」
「え・・・うん。だってプラリスの塔ってただの塔だと思っていたし、それに神聖な場所だから・・・」
セーナがそう言うとユーリはクスリと笑った。
「普通はそうよね。この国でプラリスの塔の伝説を知らない人はいないもの。でも・・・真実を知る者はいないに等しいんじゃないかしら?」
「真実?えっ・・・じゃあ、伝説は・・・」
ユーリは真剣な顔で語り始めた。
「このプラリスの塔は確かに内乱が続いた時代に国王が城を守るために築いたもの。でも本当の目的は愛する者を守るために築かれたものなのよ。」
「愛する者?」
「うん。それがプラリス王妃だったのよ。内乱が続き、城内にも何度も民衆が攻めこんで来ていたみたいなの。城内はもはや安全ではなかったのよ・・・だから国王はプラリスの塔を築き、地下に部屋を作った。沢山の罠と共にね・・・。」
「・・・沢山の罠って・・・もしかして・・・」
セーナがそう言って階段から出ている道を指差すとユーリは頷いた。
「そうよ。地下の部屋に行く道は1本だけ。他の道は全部罠・・・その道に足を踏込めば最後・・・二度と外には出られないみたい。」
ユーリが冷静な口調で言うとセーナは不安そうにユーリに言った。
「ちょっ・・・ユーリぃ〜・・・」
「大丈夫よ!!道は知ってるから!!」
ユーリは笑顔で答え、伝説の真実を続けた。
「国王は地下の部屋に長期間生活できるだけの物を用意し、プラリス王妃を部屋に隠した。そして内乱が治まるまで王妃をずっと部屋に隠し続けたのよ。」
「そんな事が可能なの?だって・・・内乱が治まるまでってかなりの・・・」
セーナは驚いてユーリに聞いた。
「うん。半年以上は確実でしょうね・・・。」
「そんなに長く、ずっと一人で・・・」
ユーリが答えるとセーナは哀しそうに言った。
「ずっと一人っていうわけではなかったのよ・・・」
「えっ?どういうこと?だって・・・国王は王妃を地下の部屋に隠したって・・・」
「うん。でも・・・食料などを補給する必要があるでしょ?いくら長期間生活できるって言っても食料はそうもいかないから・・・」
ユーリが苦笑してセーナを見るとセーナは頷いた。
「だから、国王は王妃を隠したことがばれないように信頼できる王妃護衛官の一人であった、とある若者に食料など王妃が必要とするものを届けさせていたのよ・・・若ければ雑用係に見えるからね。」
「・・・。」
「だから王妃はずっと一人ではなかったのよ・・・そして内乱は治まった・・・」
ユーリがそこまで語り終えるとセーナは不思議そうにユーリに聞いた。
「あれっ?それじゃ、王妃は生きてたってことになるん・・・」
「重要なのはこれから!!」
ユーリがそう言うとセーナは口を閉じた。
「内乱が治まって、城内も安全になり国王がプラリスの塔へ王妃を向かえに行ったとき・・・国王は信じられないもの見てしまったの。」
「・・・。」
「・・・王妃は国王を裏切ったのよ。」
ユーリはそう言うと鋭い視線をセーナに向けた。
「裏切り・・・」
「そう・・・王妃は護衛官の若者と関係をもっていたの。半年以上にも渡って若い男女が二人だけの時間を共有すれば、愛し合うっていうのも当然の流れって言えばそうなのかもしれないけど・・・。
国王は王妃と護衛官との愛し合う現場を見てしまったのよ・・・」
「・・・。」
セーナはコクンと唾を飲み込んだ。
「王妃は国王の妻。王妃と関係を持つことは反逆罪。激怒した国王は護衛官をその場で殺し、王妃をそのまま地下の部屋に閉じ込めたのよ・・・。」
「そんな・・・それじゃ、飢え死にしろって言っているのと同じことじゃない!!」
「まぁね・・・でも、2・3日して頭を冷やして国王が王妃に会いに地下の部屋に行くと王妃は護衛官に寄り添って死んでいたの。どうやら、護衛官と愛し合った時から死を覚悟していたみたいで、毒を飲んだんですって。」
ユーリはそこまで語ると立ち止まって道を確認した。
「そんな・・・じゃあ、どうしてあんな伝説が・・・」
セーナが下を向きながら言うとユーリは再び歩きだして言った。
「王妃を隠していた・・・しかもその部屋で王妃が浮気をしていた・・・なんてこと言えないでしょう!?だから国王は王妃をプラリスの塔の上へ運び、そして家来たちを呼んだのよ・・・。まるで王妃がずっと塔の上で祈っていたかのように装ってね。だから伝説が生まれたのよ。」
ユーリが語り終えたとき、二人は石で作られた扉の前に来ていた。扉はそれほど大きくなく1.7mほどの高さしかなく、見た目は倉庫にしか見えなかった。
「ここよ。」
ユーリはそう言うと扉の右側にある燭台を手前に引いた。すると壁の一枚のブロックがスライドし中には地下の入口にあったものと同じ鍵穴と電子画面が出てきた。ユーリは黙ったまま鍵を差し、パスワードを入力し鍵を回した。
すると、錠が外れる音がして石の扉が開いた。
セーナが驚いて見ているとユーリは部屋に足を踏み入れながらセーナに言った。
「入らないの?」
セーナは慌ててユーリに続いて部屋の中に入った。
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- 2007年
- 04月
- 02日
- (月)
- 01:43
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禁じられし扉 第15話
「ユーリ!!どこへ行くの?」
ユーリは急ぎ足で城内を移動していた。そんなユーリをセーナは必死で追いかけていた。
「ねぇ!!そっちは『プラリスの塔』しかないって!!」
セーナはユーリに追いついてユーリの腕を掴んだ。するとユーリはセーナの手を振りほどいて再び急ぎ足で歩き始めた。
「プラリスの塔へ行くのよ。」
「えっ!?あそこは何もないじゃない!!」
セーナが慌ててユーリの横に並ぶと、ユーリはクスリと笑ってセーナに言った。
「・・・何もないのかしら?」
プラリスの塔とは城内の一番東に位置するシャトゥーム国で一番高い建物であり、国を一望することができる。プラリスとは何代か前の王妃の名前であり、そのころシャトゥーム国では内乱が絶えず、それを嘆いたプラリス王妃が塔の一番上に真っ白なドレスを着て上り内乱が治まるまでずっと祈り続け、そして内乱が治まったときには祈った姿のままで眠るようにして死んでいたというシャトゥーム国の伝説の王妃と言われている。そのため現在でも平和の女神とされ皆に崇められている存在なのである。そしてそれ以降、東の塔は「プラリスの塔」と呼ばれ、内乱は一度も起こってはいないのだ。
「相変わらず古いわねぇ〜。」
ユーリはプラリスの塔に着くと、塔を見上げて言った。
「・・・ユーリ?」
セーナがそんなユーリの様子を不思議そうに見ているとユーリはプラリスの塔の階段がある場所とは反対の方へと歩き出した。
「えっ?階段はこっちじゃないの?」
セーナが慌てて言うとユーリは笑いながら言った。
「塔へ上がるわけじゃないんだから!!」
「えっ?」
「いいから、こっちへ来て!!」
セーナがユーリに呼ばれて階段のちょうど裏に行くと、ユーリは塔の壁に手を当てて何かを探していた。
「何してるの?」
セーナがそう言ったときユーリは何かを見つけた。
「あった!!セーナ、周りに誰もいない?」
ユーリにそう言われてセーナは辺りを見回した。
「・・・居ないと思うけど・・・居たらマズイの?」
「かなりマズイ!!」
ユーリが険しい顔をして言うと、セーナは軽く息を吐きポケットから小さな電子チップを取り出して、それを塔に貼り付けた。
「何なの?そのチップ・・・」
ユーリが聞くとセーナはポケットから小さなモニターのついた機械を出してそれを見ながら言った。
「生命体、機械類には無害の電磁波を発するチップ。この特殊な電磁波は生命体や機械類に当たると独特な変化を起こし、微量の静電気が発生するの。その静電気を感知するのがこのモニターってわけ。電磁波が当たった部分に静電気が発生するから接触物質の形状や距離までかなり正確に計測できるようになってる。」
セーナの説明を聞きながらユーリはセーナの持っているモニターをのぞきこんだ。
「・・・よくわかんないけど、とにかくこれで周囲に人が居るかどうかわかるってことよね?」
「・・・うん。・・・誰もいないよ。」
セーナがそう言うとユーリはプラリスの塔の外壁のレンガを一つ外した。
「ちょ、ちょっとユーリ!!プラリスの塔は・・・」
セーナが慌てて止めようとユーリに駈け寄るとレンガを外したその奥にはパスワードを入力する電子画面と鍵を刺し込む場所があった。
「何なの、コレ・・・こんなの塔にあった?」
セーナが驚いてユーリに言うと、ユーリはポケットから金色の鍵を取り出し、それを鍵穴に差し込みパスワードを入力してから鍵を回した。
すると塔の裏に入口が現れた。ユーリは鍵を抜いてレンガを戻した。
「セーナ、入るよ〜♪」
ユーリはそう言うと入口から入って行った。
「・・・。」
セーナも慌ててユーリの後を追って入口から入った。
ユーリは急ぎ足で城内を移動していた。そんなユーリをセーナは必死で追いかけていた。
「ねぇ!!そっちは『プラリスの塔』しかないって!!」
セーナはユーリに追いついてユーリの腕を掴んだ。するとユーリはセーナの手を振りほどいて再び急ぎ足で歩き始めた。
「プラリスの塔へ行くのよ。」
「えっ!?あそこは何もないじゃない!!」
セーナが慌ててユーリの横に並ぶと、ユーリはクスリと笑ってセーナに言った。
「・・・何もないのかしら?」
プラリスの塔とは城内の一番東に位置するシャトゥーム国で一番高い建物であり、国を一望することができる。プラリスとは何代か前の王妃の名前であり、そのころシャトゥーム国では内乱が絶えず、それを嘆いたプラリス王妃が塔の一番上に真っ白なドレスを着て上り内乱が治まるまでずっと祈り続け、そして内乱が治まったときには祈った姿のままで眠るようにして死んでいたというシャトゥーム国の伝説の王妃と言われている。そのため現在でも平和の女神とされ皆に崇められている存在なのである。そしてそれ以降、東の塔は「プラリスの塔」と呼ばれ、内乱は一度も起こってはいないのだ。
「相変わらず古いわねぇ〜。」
ユーリはプラリスの塔に着くと、塔を見上げて言った。
「・・・ユーリ?」
セーナがそんなユーリの様子を不思議そうに見ているとユーリはプラリスの塔の階段がある場所とは反対の方へと歩き出した。
「えっ?階段はこっちじゃないの?」
セーナが慌てて言うとユーリは笑いながら言った。
「塔へ上がるわけじゃないんだから!!」
「えっ?」
「いいから、こっちへ来て!!」
セーナがユーリに呼ばれて階段のちょうど裏に行くと、ユーリは塔の壁に手を当てて何かを探していた。
「何してるの?」
セーナがそう言ったときユーリは何かを見つけた。
「あった!!セーナ、周りに誰もいない?」
ユーリにそう言われてセーナは辺りを見回した。
「・・・居ないと思うけど・・・居たらマズイの?」
「かなりマズイ!!」
ユーリが険しい顔をして言うと、セーナは軽く息を吐きポケットから小さな電子チップを取り出して、それを塔に貼り付けた。
「何なの?そのチップ・・・」
ユーリが聞くとセーナはポケットから小さなモニターのついた機械を出してそれを見ながら言った。
「生命体、機械類には無害の電磁波を発するチップ。この特殊な電磁波は生命体や機械類に当たると独特な変化を起こし、微量の静電気が発生するの。その静電気を感知するのがこのモニターってわけ。電磁波が当たった部分に静電気が発生するから接触物質の形状や距離までかなり正確に計測できるようになってる。」
セーナの説明を聞きながらユーリはセーナの持っているモニターをのぞきこんだ。
「・・・よくわかんないけど、とにかくこれで周囲に人が居るかどうかわかるってことよね?」
「・・・うん。・・・誰もいないよ。」
セーナがそう言うとユーリはプラリスの塔の外壁のレンガを一つ外した。
「ちょ、ちょっとユーリ!!プラリスの塔は・・・」
セーナが慌てて止めようとユーリに駈け寄るとレンガを外したその奥にはパスワードを入力する電子画面と鍵を刺し込む場所があった。
「何なの、コレ・・・こんなの塔にあった?」
セーナが驚いてユーリに言うと、ユーリはポケットから金色の鍵を取り出し、それを鍵穴に差し込みパスワードを入力してから鍵を回した。
すると塔の裏に入口が現れた。ユーリは鍵を抜いてレンガを戻した。
「セーナ、入るよ〜♪」
ユーリはそう言うと入口から入って行った。
「・・・。」
セーナも慌ててユーリの後を追って入口から入った。
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- 2007年
- 03月
- 01日
- (木)
- 03:28
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